おぎしま内科

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対象疾患

高血圧症

はじめに

高血圧症があると脳梗塞、脳出血、心臓病になる可能性が高くなります。高血圧症の診療では、ご家庭で測定する血圧が重要視されます。
この記事では高血圧症の定義、推奨される血圧の測定方法、高血圧症の原因についてご説明します。

高血圧症の定義

ご自身で血圧を測ったり、健康診断で血圧を測ったりした時に血圧が高ければ、高血圧症が疑われます。高血圧症は、ご家庭で測定した血圧 (家庭血圧)と医療機関で測定した血圧(診察室血圧)の両方が基準値より高かった場合に診断されます。その基準値は以下の通りです。

高血圧症の定義
家庭血圧  135/85 mmHg 以上
かつ
診察室血圧 140/90 mmHg 以上

血圧の上昇と脳卒中・心疾患・
血管疾患との関連、正常血圧に
ついて

40歳以上において血圧が130/85 mmHg以上になると脳卒中・心疾患・血管疾患の危険が上昇してきます。
このような背景から日本高血圧学会は診察室血圧120/80 mmHg未満を正常血圧と定義しています。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2019による血圧値の分類は以下の表の通りです。

  • 家庭血圧による分類には、家庭での朝・晩それぞれの測定値5~7日間の平均値を用います。
  • 診察室血圧による分類には、診察室で、血圧の薬を内服せずに、少なくとも2回以上の別の機会に測定した値を用います。(さらに細かい条件については省略します)

表は右にスクロールできます →

分類 家庭血圧(mmHg) 診察室血圧(mmHg)

収縮期血圧拡張期血圧

収縮期血圧拡張期血圧

正常血圧

115 未満かつ75 未満

120 未満かつ80 未満

正常高値

115-124かつ75 未満

120-129かつ80 未満

高値血圧

125-134かつ/または75-84

130-139かつ/または80-89

Ⅰ度高血圧

135-144かつ/または85-89

140-159かつ/または90-99

Ⅱ度高血圧

145-159かつ/または90-99

160-179かつ/または100-109

Ⅲ度高血圧

160 以上かつ/または100 以上

180 以上かつ/または110 以上

(孤立性)
収縮期血圧

135 以上かつ85 未満

140 以上かつ90 未満

家庭血圧の測定方法

日本高血圧学会は血圧を腕(うで;肩から肘の間)で測ることを推奨しています。血圧計を新たに購入する際は腕で測定するタイプを購入しましょう。しかしながら腕がとても太い方(肘を軽く曲げた状態で腕周りが32-36 cmを超える方)は太腕用カフ(腕帯;わんたい;腕周り42cmまで測定可能;オムロン社)を購入するか、手首で測定する血圧計の使用を検討しましょう。
室温が低いと血圧は上がりやすくなります。タニタ社は室温が9℃以下の時には血圧測定を開始しない血圧計を販売しています。これは血圧測定に適した室温の目安の一つになると思います。

家庭血圧の測定の方法や条件
  1. 装置
    腕で血圧を測定する血圧計が望ましい
  2. 測定環境
    • (1)適当な室温の静かな場所で測定しましょう。
    • (2)背もたれ付きのイスに座り、足を組まずに、足を床につけ、1-2分安静にしてから測定しましょう。
      座れない方は仰向けになって測定しましょう。
    • (3)測定中は話したり動いたりしないようにしましょう。
    • (4)測定前にタバコを吸ったり、お酒を飲んだり、カフェインを摂取したりすることは避けましょう。
    • (5)測定中にカフ(腕帯)を心臓の高さに保てるように、あらかじめクッションやタオルなどを準備しましょう。心臓の高さとは、男性は乳頭(乳首)の高さ、女性はアンダーバスト(乳房の付け根)から
      指1〜2本分、頭側が目安です。
    • (6)原則として利き腕の反対側の腕で測定することをおすすめします。
  3. 測定条件
    • a)起床後1時間以内
      排尿後
      朝食の前
      朝の薬の服用前
      座って1-2分、安静にした後
    • b)就寝前
      座って1-2分、安静にした後
  4. 測定回数
    1機会に1~2回測定。
    1回の測定より、2回測定し、その平均を評価した方が良いとされています。
    2回以上測定した場合は、すべての測定値を記録するようにしましょう。
  5. 評価の対象
    起床後の測定値5-7日間の平均値
    就寝前の測定値5-7日間の平均値
    個々の測定値も評価の対象です。
  6. 評価
    高血圧 朝・晩いずれかの平均値 135/85 mmHg以上
    正常血圧 朝・晩それぞれの平均値 115/75 mmHg未満
高血圧症の原因

高血圧症の90%の方は、遺伝や生活習慣が高血圧の原因となっています。このような高血圧症を一次性高血圧(本態性高血圧)と呼びます。
残りの10%は腎臓の病気、内分泌疾患(ホルモンの異常)、服用している薬、睡眠時無呼吸症候群などが原因となっている二次性高血圧に分類されます。通常は問診、身体診察と一般的な尿検査や血液検査、胸部レントゲン写真、安静時心電図検査の結果などから一次性か二次性か(特定の原因があるかないか)を判断します。ほかに複数の薬を使用しても血圧がなかなか下がらない場合は二次性高血圧である可能性が疑われます。当院では二次性高血圧が疑われた場合、総合病院にご紹介します。

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